Ｎｉｓｈｉｍａｃｈｉ　Ｒｏｋ　Ｓhow （西町ロックショウ）

「おつかれさまですっ」妙に落ち着いた口調の挨拶、北山亭メンソーレが縞模様の着物姿で楽屋に来た。普通の若手芸人とは違う雰囲気が漂う。
彼はコントや漫才がほとんどの沖縄お笑い界において「古典落語」で挑む異色の存在だ。



―もともと落語をやっていたんですか？

　まさか。入り口は漫才とコント。高校生の時にコンビを組んでた大道芸人の珠人と卒業進学で離れてしまって、他にやりたい事ないし大学の落語研究会に入ったんだよ。なんとなくだけどね。
　落語自体は子供の時にラジオで・・・ＮＨＫのラジオ深夜便の名人寄席かな。実家が菊農家だからさ、出荷の時期になると夜中まで手伝いしながらそれをちょいちょい聴いてた。興味なかったから誰の噺だったか全然覚えてないけど。


その後、落研の先輩に無理矢理連れて行かれた、後に師匠となる立川志の輔の高座で落語に対する価値観を大きく変えられた。ショックだった。

　「なんじゃこりゃ！？」ですよ。今まで、コント漫才が笑いの全てだと思ってどっぷりハマっていた自分の価値観が、クッとひっくり返された。


以来、彼は「落語」に傾倒してゆく。勢いとは恐ろしい。なんと全日本学生落語選手権で優勝。そのまま勢いで大学を中退し、２００４年４月立川志の輔当時４番目の弟子として門下に入る。「立川メンソーレ」という芸名を貰った。しかし、志半ばで２０１０年に廃業。「北山亭メンソーレ」に名を改め、活動の場を沖縄に移す。今は離島を含めた県内各地の公民館などで会を開いたり、学校公演やお笑いイベントでオリジナルの高座に上がり続けている。

―沖縄って落語の文化がないじゃないですか、その中で「お笑い」として受け入れられるんですか？

　もともと東京、大阪のローカル芸だから沖縄じゃなくても「落語という芸」を知らない人が、まだまだ多いよ。お年寄りが聴くってイメージもあるみたいだけど逆に子供の方が「じゅげむじゅげむごこうのすりきれ……」なんかのフレーズを知っていたりしていて、ウケたりする。もちろん普通の漫才とかコントとかの間にオレが入って高座に上がると「え？」って反応もある。


―着物の奴が座布団に座っていきなりお辞儀ですもんね。今度西町ロックショウでネタ出ししているのは古典落語の「だくだく」です。

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古典落語「だくだく」のあらすじ
引越しをした主人公。
空っぽの新居でせめて物持ちになった気分を味わおうと、知り合いの画描きに頼んで壁じゅうに家具の絵を書いてもらい見てくれだけなら立派な座敷が完成した。ところがその夜、この宅に泥棒が入りんでしまう――。
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　この噺は好き。登場人物が粋というか遊びがある。見終わった後にお客様に「この２人は多分この後、酒でも飲みに行くんじゃないか」と想像してもらえたら成功。

―今後の目標はありますか？

　よくお年寄りの前で落語をやった後に「唄やらないの？三線弾かないの？」とか言われる。なので、オプションとして谷茶前ぐらい踊れるようになりたい。幅が広がって仕事が増えるかも。
　沖縄は「芸能・唄の島」。もともと落語的な言葉のリズムを楽しむ事ができる人が多い土地ではあるよね。



今後は沖縄っぽい話し方の新作落語に挑戦したいと語る。もしかしたら彼を起点に新しい沖縄の笑いのジャンルができるかも知れない。


【文・構成】
不塚酔夫（うちなー話芸ルポライター）


西町おこしエンターテイメント！
西町ＲＯＫショウ４月公演の出演者が決定！

ぐるくんず！（漫才・コント）




ゴリラ・コーポレーション！（漫才・コント）




ウリズン桜！（漫才・コント）




３３０！（漫才・コント）




北山亭メンソーレ！（落語・ネタ出し「だくだく」）



４月２５日木曜日　午後７時開場　　７時半開演


入場料　おとな　　　　　１，０００円

　　　　 　高校生以下　　　 ５００円

　　　　※親子連れのこども１名まで無料　　


場所　ラジオ沖縄１Ｆ　那覇市西町１－４－８



予約　（０９８）８６９－２２０４